第10章 非対称…【Extra Edition】
「うん。分かった」
雅紀がフォークを手に取り、真っ赤なイチゴに突き刺す。
「ほら、あーんして?」
「う、うん…」
なんだろ…、ちょっと照れ臭い。
それでも、雅紀にあーんして貰ったイチゴの味は格別で…
「おいひ〜♡」
俺は両手でほっぺたを押さえた。
「もう1個食べる?」
「うんうん♪」
俺の口の中に、イチゴの甘ずっぱさが広がる。
「うふ、幸せだ〜♡」
「ほんと? じゃあさ、もっと幸せになっちゃう?」
「もっと…って?」
「決まってるじゃん、俺の部屋でさ、ビールでも飲んでさ、一緒にシャワー浴びてさ、それからベッドでイチャイチャしてさ、それからまたシャワー浴びてさ、一緒に朝を迎えるの」
嬉しそうに言う雅紀。
でもそれってさ…
いつもとどう違うの?
全く特別感ないんだけど…
「ね、ね、そうしようよ♪ だってほら、誕生日だしさ、サービスするからさ」
「そ、そうだ…ね…。うん、そうしようかな」
一応お誕生日特典もあるみたいだし、今日は雅紀の部屋で特別な夜を過ごすことにしようかな♪
「よし、そうと決まれば“膳は急げだ“!」
それを言うなら、“善は急げ”な(笑)
いそいそとケーキにホイルを被せ、レジ袋に詰め込む雅紀…。
っていうか、ケーキをゆっくり楽しむ間もないのね…(笑)
ま、でも仕方ないよね…
「俊介、行くよ?」
「うん、あ、ちょっと待って? 雅紀、戸締りの確認してないでしょ?」
ちょっぴり頼りないけど、俺が好きになった人なんだからさ…
でも来年の誕生日こそ、もっとスマートに…って期待してもいいか…な…?
おわり