第9章 家族旅行…
「ほら、腕枕してやるから、来いって…」
枕替わりに組んでいた手を解き、俺が頭を乗せ易いように伸ばしてくれる。
そんなちょっとした優しさにすら、俺がドキドキしてるの、和は気づいてるんだろうか…
「おじゃま…します…」
「うん…」
本当は和の腕に飛び込みたいのをグッと堪えて、ゆっくりとした動きで、和の腕に頭を預けた。
普段は見下ろすことの多い和の顔を見上げる俺…
綺麗な形をした唇がすぐ目の前にあって…、正直ヤバい…
「どうした…?」
「な、なんでもない…」
下手な誤魔化しなんて、和の前では通用しないって分かってるけど、やっぱ誤魔化さなきゃ…だよな…
だって俺…けっこうヤバい状態になってるんだもん。
だから…かな…、和にピタッと身体をくっつけたいのに、どうしても腰が引けてしまって…
足だって、不自然にモゾモゾしちゃってるし…
当然、
「潤…、お前…」
「へ、へっ…、あっ…、ひゃっ…!」
和が見逃すわけもなく…
俺の頭の下にある腕とは別の手が、丁度俺の脇腹の辺りをスルッと撫でたりするもんだから、変な声は出ちゃうし、身体は飛び上がるしで…
「ほ…しい…、和が、欲しい…」
だめだ…って分かってるけど、欲望を抑えられなくなってしまう。