第9章 家族旅行…
部屋に戻って、綺麗に敷かれた二組の布団を見た時から、俺はずーっと気になってた。
この、二組の布団の間にある、数センチの隙間が…
「くっつけても良い?」
甘えるように言うと、兄ちゃんがアルコールで赤くなった目をキュッと細めて、布団の上で少しだけ身体をずらした。
「んなことしなくても、こっち来れば良くね?」
「えっ…、で、でも…」
この壁一枚隔てた向こうには、母さんと親父さんがいるのに?
なんて、つい期待してしまう俺…
兄ちゃんもそれを分かってるから、俺の手を引いて、自分の布団の中へと引き込もうする。
「ちょ…、兄ちゃん…、だめだって…」
俺…、さっきはたまたま兄ちゃんがキスしてくれてたから大丈夫だったけど、声とか我慢出来る自身…ない…。
「ぷっ…、ばーか、何期待してんだよ(笑)」
「だ、だって…」
一つの布団に二人で寝るってことは…そういうことじゃないの?
「あんなぁ…、別に一緒に寝るイコールセックスじゃないだろ?」
確かにそうだけど…
「たまには抱き合って寝るのも良くねぇか?」
そ、そりゃそうだけど…
「それとも…それじゃ足りないとか?」
「ううん…、そんなこと…ない…」
兄ちゃんの…和の腕に抱かれて眠れるなら、それはそれで最高の幸せなんだけど…
でもさ、やっぱり期待しちゃうじゃん?