第9章 家族旅行…
それを見て…なのか、兄ちゃんも「それなら…」と頷く。
「じゃ、決まり」
良かった…、これで二人が同じ記憶を持つことが出来る。
勿論兄ちゃんにその頃の記憶はないんだろうけどさ、やっぱ俺としては、どちらか一方じゃなくて、二人がちゃんと記憶を共有出来る形にしたかったからさ。
と、まあ、そんなこんなで部屋に戻った俺と兄ちゃんは、ビシッと敷かれた布団に、それぞれ身を投げ出した。
「はあ…、食った食った…」
「ぷっ…、お前食い過ぎだって…(笑)」
「だって仕方ないじゃん、美味しかったんだもん。あ、でも兄ちゃんは? 足りた?」
一応、生物ばかりじゃなく、煮物や焼き物なんかもあったけど、兄ちゃん…ちゃんと食べれたかな…
「まあ…な…。つか、茶碗蒸しばっか四つも食や、腹も膨れんだろ…」
あ、そうだった…(笑)
俺が、兄ちゃんが茶碗蒸しが好きだ、なんて言ったから…
「ごめん…、でも美味しかったでしょ?」
「うん、美味かった…」
なら良かった。
「それよりさ…、俺ずっと気になってるんだけど…」
「ん? 何が…?」
両腕を枕替わりに大の字になった兄ちゃんが、首だけを動かして俺を見た。
もお…、そんな赤い目で見られたら、ドキッとしちゃうじゃんか!