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99.9%のDNA【気象系BL】

第9章 家族旅行…


ま…、無理もないか…

「だってもう残ってないって…。俺が持ってた、あの一枚しかないって…」

うん…、俺も実際そう思っていた。

なのにどうして…?

「私もそう思ってたわよ? あんたは達のお父さんと別れた時、全部捨てて来たと思ってたから…。でも不思議ね…、その写真だけは、どうしても捨てられなかったのね…」

母さんの頬を、一筋の涙が伝う。

普段は何があっても涙なんか見せない母さんだから、その涙の持つ意味がどれ程のものなのか分かる。

そして、それ程愛していた筈の我が子を、一人残して家を出なきゃいけなかったことが、どれ程辛いことだったのか…

思いがけない母さんの涙に、親父さんが首にかけていたタオルを黙って差し出した。

「やあね、しんみりさせちゃったわね…? さ、飲みましょ?」

ほら、とばかりに母さんが兄ちゃんに向かってビール瓶を差し出した。

でも兄ちゃんは中々グラスを手に取ろうとはせず…

「兄…ちゃん?」

俺が覗き込むと、目を真っ赤に腫らしていて…

「これ…、俺が貰っちゃっていいの…かなあ…」

産まれたばかりの兄ちゃんを抱いて、幸せそのものの姿で写真に納まる母さんを、じっと見つめていた。

その姿に、なんだか俺まて胸に込み上げる物を感じてしまう。
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