第9章 家族旅行…
新鮮かつ豪華な料理に舌鼓を打ちつつ、冷えたビールを流し込む…
これぞまさに至福の時間って感じで…
普段はあまりアルコールを口にしない母さんも、今日ばかりはと顔を赤くしている。
兄ちゃんも楽しそうだし…、生物が嫌いな兄ちゃんには若干の申し訳さもあるけど、こういう時間を持てて本当に良かったと思う。
「あ、そう言えばもうすぐ和也の誕生日でしょ?」
母さん…、ちゃんと覚えてたんだ…
…って、当たり前か、自分がお腹を痛めて産んだ子だもん、忘れられるわけないか…
「本当はね、家でお祝いでも…って思ったんだけどね、潤が誕生日は二人で約束があるからって言うもんだからね…」
「か、母さん…、それは…」
兄ちゃんには内緒にしておきたいから、言わないでねってあんなに言ったのに…
「へ、へぇ…、そう…なんだ…?」
ほらぁ…、兄ちゃんおかしな顔になってんじゃんか!
つか、目…怖いよ…?
「それでね、本当は誕生日に渡そうと思ってたけどね…、これ」
母さんがテーブル越しに、黄色い風呂敷包みを兄ちゃんに差し出した。
「これ…は?」
包みを受け取った兄ちゃんが、母さんと包みを交互に見ながら、首を傾げた。