第9章 家族旅行…
ゴトン…、と兄ちゃんの手からスマホが滑り落ちる。
「お前…」
目一杯低くした声と、細めた目が、俺をギロっと睨み付ける。
あ…れ…?
兄ちゃん…怒って…る…?
「あ、ご、ごめん…じょうだ…、んっ…んんっ…」
咄嗟に謝ろうとした俺の首に、スマホを手放した兄ちゃんの手がガシッと…まるで猫の首根っこみたく掴まれた、と思った瞬間、兄ちゃんの顔がすぐそばにあって…
俺が声を上げるよりも早く、互いの…っていうより、強引に唇を吸われていた。
舌先が差し入れられ、歯列をなぞるように舐められると、それだけでもう俺の下半身が疼き出し…
俺は、疼き始めた中心を畳に擦り付けるように、自然と腰を揺らした。
当然、兄ちゃんがそんな俺の反応を見逃す筈もなく…
「触ってやろうか…?」
唇が離れたほんの僅かな隙に囁かれたらさ、もう…
「触って…くれるの…?」
期待しちゃうよね…
「だってそのままじゃ辛いだろ?」
「う…ん…、触って…?」
兄ちゃんに…、和に触って欲しい…
和の手に触れて欲しくて、包んで欲しくて、ウズウズしてる…
「ククク、素直じゃん(笑)」
「当たり前でしょ? 俺は和の前ではいつだって素直だもん…」
見え透いた誤魔化しなんて、どうせすぐに見破られちゃうんだもん…
俺達は99・9%のDNAで繋がってるんだから…