第9章 家族旅行…
温泉での楽しみって言ったら、やっぱコーヒー牛乳でしょ、ってことで…、
風呂上がり火照った身体に、キンキンに冷えたコーヒー牛乳を、二人して腰に手をあて一気に流し込むと、スッと汗が引いて行くのを感じる。
「ぷは…、最高♪」
「しっかし、驚いたな…」
言いながら、兄ちゃんが浴衣の袂を肩まで捲り上げる。
脇の間から見える白い素肌に、ドキッとしてしまう。
ついさっきまでガッツリ裸の付き合いしてたって言うのに…
「何が?」
「何が、ってほら親父さんのアレが…さ…」
親父さんのアレ…?
空になった牛乳瓶をラックに返しながら、首を傾げる。
でもすぐに兄ちゃんの言う、“アレ”が“アレ”を指していることに気付いた俺は、振り返りざまに吹き出してしまった。
コーヒー牛乳をしっかり飲み干していたことは、不幸中の幸い(?)かもしれない。
「に、兄ちゃんも気になったんだ…?」
「そりゃなるだろうが…、あんなデカけりゃさ…」
そ、そうだよね…、分かるよ、兄ちゃんの気持ち。
つか、兄ちゃんがそんなだったら、俺はどうなる?
俺のなんて…とても人様に自慢してお見せ出来るサイズじゃないけど?
「ま、人と比べるモンでも、競うモンでもないけどな…?」
「そ、そうだよ…。元気があれば一番!だもん」
…って俺、超絶恥ずかしいこと言ってる気がするのは、気のせい…だよな?