• テキストサイズ

99.9%のDNA【気象系BL】

第9章 家族旅行…


「俺、先上がるわ…」

一頻り親父さんも込みの“裸の付き合い”を楽しんで、いよいよのぼせるって寸前で、兄ちゃんが湯面を波立たせて風呂から上がる。

「あ、俺も」

当然、俺も兄ちゃんの後を追って脱衣所に出ると、兄ちゃんは既に浴衣を着込んでいて…

チラッと俺を見てから、左手をスっと差し出してきた。

手を繋いでくれるもんだとばかり思った俺は、迷うことなく兄ちゃんの手に自分の右手を重ねた。

「は?」

「え?」

「いや、俺のパンツ…」

当たり前…だけど、呆れ顔に呆れ声の兄ちゃんに、俺の顔が熱くなる。

「あ、あは…ははは、パンツ…ね…。すぐ出すからちょっと待ってて…」

「おう…。つか、お前…勘違いしてんじゃねぇよ(笑)」

慌てて脱衣カゴを漁る俺の横で、兄ちゃんが珍しく声を上げて笑う。

そりゃさ、ちょっと考えれば分かることだけど、そこまで笑う?

「もぉ…、兄ちゃん笑い過ぎ…」

「ごめんごめん(笑) つか、やっぱお前可愛いわ」

「そ、そんなお世辞言ったって誤魔化されないんだからね?」

更に唇を尖らせた俺の耳元に、兄ちゃんが口を寄せ、俺の(多分…だけど)赤くなった耳にフッと息を吹きかけた。

擦り硝子の向こうには、親父さんがいるのに…

「に、兄ちゃん…」

「馬鹿、期待してんじゃねぇよ(笑)」

分かってるよ。

だって今は…、この二日間だけは、俺達は”恋人”じゃなく、”兄弟”なんだから…
/ 206ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp