第8章 秘密…
目の前にある潤の顎を持ち上げ、形の良い唇に自分のそれを近付けた時、俺はふと”あること”を思い出す。
「なあ、あの荷物って、もしかして…?」
そもそも俺が引き篭る原因になった、例のローションを含む“宅配便便の数々”だ。
「ああ、うん…。だってその…必要でしょ、ラブホってそういうアイテム…」
まあ、確かにそうだよな…ってか、認めちゃってんじゃんか、“ラブホ”って(笑)
「だからさ、ネットで見て、面白そうなのとか、後は機能性に優れた物とか? 色々気になった物を取り寄せてみたんだ」
なるほどな…
でもそれにしたって、けっこうな数だったけど?
「で、良さそうなのあったのかよ」
「うーん、幾つかは、ね?」
「ふーん…、それってさ、今ここにあんの?」
潤の仄かに赤くなった頬をスルリと撫でて、ニヤリと笑って見せる。
「えっ、まぁ…そりゃ…ね…?」
そう言った潤の目は、明らかな動揺の色が浮かんでいる。
「見せてみろよ、それ…。なんなら今ここで試してみようぜ?」
せっかくこんなトコ来てんだし、普段とは違った楽しみ方をするのも悪くない。
それになんてったって、俺の誕生日だしな?
楽しまない、って手はないしね?
「ちょっと待ってて?」
俺の腕から抜け出した潤が、若干内股気味になりながら、細かな彫りの細工が施された洋風のキャビネットの鍵を開け、開いた扉の中に手を入れた。