第8章 秘密…
着ていたジャケットをソファーの背凭れにかけ、潤が俺の隣に腰を下ろす。
その間、凡そ50cm。
何とも言えない距離感に、潤が肩を揺らした。
「えっとね、まず俺の会社がとんな会社かは、兄ちゃんも知ってるよね?」
「だからアレだろ? 不動産関係だろ?」
世相には疎い俺でも知ってるくらい、大手のな…
「うん、まあ大まかに言うとそうなんだけど。でね、今までもレジャー施設の開発なんかには携わって来たんだけど、今年から新規事業として、リゾートホテルの開発にも乗り出しててさ…。ここがその第一号って言うかさ…」
潤の言ってることは分かる。
でもさ、いくらファッションホテルって呼称を変えてみたところで、所詮ラブホはラブホだろ?
リゾートと呼ぶには程遠い気もするけど…
「でね、俺そのプロジェクトチームに配属されてさ…」
「すげーじゃん…!」
40cm…
「うん。で、ついでに言うと、プロデュースなんかも任されて…」
「益々すげーじゃんか! …って、んじゃ何か? この部屋もお前が?」
20cm…
「うん。他の部屋はまだ内装とか全然なんだけどさ、どうしてもこの部屋で和のBirthday祝いたくてさ、工事急いで貰ったの…。」
なんだろ…
俺的には、こんなキラキラした部屋は、とても居心地が良いとは言えないんだけどさ、潤が俺のために…って考えてくれたと思うと、座り心地の悪いソファーだって、すごく心地よく感じてしまう。
「ありがとな、潤…」
0cm…
漸く俺達の間に、妙な隙間がなくなった。