第8章 秘密…
「ねぇ、兄ちゃん?」
結局誰に見られることも無く、ずっと手を繋いだまま駐車場に降りると、車を前にして潤がふと足を止めた。
「なんだよ…」
「あの、さ…。手、繋いでてくれるのは、超嬉しいんだけどね、手繋いだままじゃ車に乗れないんだけど…」
「えっ、あ、そっか…」
言われて気付いた俺は、慌てて潤の手を解放すると、潤が乗り込むよりも前に助手席のシートに身を埋めた。
なんだろうな…
つい今朝方まであんなにも潤に対して怒ってた自分が、おかしく思えてくる。
だって今俺の隣にいる潤は、パリッとキメてはいるものの、やっぱり可愛さの方が何十倍も勝っていて、ここが車の中じゃなければ、間違いなく押し倒してるレベルだ。
つか、ヤベ…
これ以上潤の顔見てたら、マジで勃っちまう…
俺は俄に盛り上がった股間を潤に気付かれなくて、狭い車内で足を組むと、視線を車窓に向けた。
なのに、
「兄ちゃん…、ソレ隠れてないから(笑)」
笑いを含んだ潤の声に、内心ビクッとする。
「う、うるせぇ…。んなことより、さっさと車走らせろよな…」
「はいはい、分かりました(笑)」
ったく、こんなことなら引き篭もってる間にヌいときゃ良かった。
これじゃまるで、ただの欲求不満みたいじゃんか…