第8章 秘密…
「あっ…」
短い悲鳴を上げて、潤がずっと塞き止められていた熱を床に吐き出した。
そしてグッタリとした身体を床に投げ出して、顔だけをこちらに向けると、声には出さず唇だけを動かした。
こんなの嫌だ、って…
俺だって嫌だよ、こんな一方的なセックスなんて、潤とはしたくない。
でもこの時の俺は、潤に裏切られたって…、その思いだけしかなくて…
潤だけじゃない、俺にだって秘密の一つや二つあるって、ちょっと冷静になって考えれば分かることなのにね。
結局俺は床に横たわったままの潤を残し、自分だけさっさとシャワーを浴びると、そのまま自室へと引き篭もった。
最近始めたばかりのソフトをセットして、ゲーム機の電源を入れる。
するとものの数秒も経たないうちに、液晶には二人のキャラクターが映し出され、能天気に踊り始めた。
なんだろうな…、今はその能天気な姿にさえ腹が立つ。
「はあ…、俺も相当ガキだわ…」
閉じたドアの向こうから聞こえた僅かな物音に、今更ながらに自己嫌悪する。
とはいえ、”ごめん”の一言も素直に言えない俺は、早々にゲーム機の電源を落としてベッドに潜り込んだ。
壁一枚挟んだ隣の部屋で、潤が声を殺して泣いてるのも気付かないフリをして…