第7章 バングル…
結局、仕上げにはもう少し時間が必要だ、という智さんの言葉に、俺と兄ちゃんは若干肩を落としつつも了承しるしかなく…
誕生日当日に届くように仕上げる約束を取り付け、俺と兄ちゃんは帰路に着くことにした。
寂しいけど別々の車で…ね…。
それから約一週間…
俺の元へ小包が届いた。
差出人は勿論…、智さんと翔さんだ。
俺はすぐにでも開けたい気持ちをグッと堪えて、珍しく出かけていた兄ちゃんの帰りを待ってから、漸くダンボールの封を剥がした。
中に入っていたのは、丁寧に梱包された、サイズの違う箱が二つ。
どっちがどっちかなんて、中を見なくたって分かる。
大きい方の箱を手に取り、兄ちゃんが蓋を開ける。
そこには、大振りだけど、細かな細工が施された、シルバーのバングルが入っていて…
「潤、手ぇ…出してみ?」
「…うん」
子供じみてるって思う。
でも…嬉しくて嬉しくて…
俺は少しだけ重みを増した左手首を眺めては、自然と緩む頬を止められずにいた。
「で? お前のは?」
「えっ、あっ…そうだった…」
俺は兄ちゃんのよりも、一回り小さな箱を手に取ると、恐る恐る蓋を開けた。
「嘘っ…マジか…」
箱の中に入っていたのは、俺が想像していたよりも、うんといい出来で…
多分…だけど、智さんが手を加えてくれたんだと思う。
「兄ちゃ…和、手出して?」
「こ、こうか…?」
照れ臭そうに差し出された右手首に、俺はゆっくり細身のバングルを通した。