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99.9%のDNA【気象系BL】

第7章 バングル…


直径僅か2ミリにも満たない小さな文字と格闘すること30分…

漸く裏側の刻印が打ち終わった。

「ふぅ…、肩凝った…」

俺はグルンと首を一捻りすると、今度は大きく左右に振った。

「ふふ、案外疲れるでしょ?」

「えっ…いえ…まあ…」

「でもね、慣れるとそうでもないから」

だろうね…
でも俺は…多分一生慣れることはないだろうな…

「さ、もうひと頑張りだよ? あ、それともちょっと休憩する?」

出来ればそうしたい所だけど、ふと隣を見ると、真剣な顔をして作業に没頭する兄ちゃんの横顔があって…

「いえ、大丈夫です。あの、次はどうすれば…」

「んと、後はね、表の部分を彫って行くのね? で、本当なら“タガネ”って道具を使うんだけど、今回は初めてだから、これを使おうかな」

そう言って智さんが取り出したのは、裏側の刻印をしたのと同じような道具で…

でもそれは数字とか文字の類いではなくて、流線状の形を型どった物で、俺はそれを受け取ると、シルバーの上に乗せてから、ハンマーで叩いた。

「その調子。さっきよりも、うんと上手に出来てるよ」

「そ、そう…ですか?」

「うん、大丈夫。頑張って」

なんだろ…
やっぱりこの人の言葉って、安心する…って言うか、ホッとするって言うか…

母さんみたいな感じ…って言ったら、怒るだろうか?

それに翔さんだって…

黙ってコーヒーを珈琲を淹れてくれたり…


兄ちゃんの周りには、温かい人達ばかりだ…
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