第7章 バングル…
キッチンから戻って来た翔さんの手には、二つのマグカップが握られていて、香ばしいコーヒーの香りが鼻を擽った。
「…ありがとうございます」
受け取ったマグカップを作業台に置くと、冷ますために息を吹きかけていると、作業台の過度に腰を掛けて、クスクスと肩を揺らした。
「あ、あの…何か?」
「いやさ、話には聞いてたけど、相当可愛いよね、君」
へっ…?
何言ってんの、この人…
「アイツ…和ね、会う度言うんだよ、潤は可愛い、ってさ。見た目超イケメンなのに、実は超天然で、笑った顔は天使みたいだ、ってね」
兄ちゃんがそんなことを…?
ってか、兄ちゃんてばもぉ…照れるじゃんか…
「俺、そんなじゃないですから…」
だって、俺なんかより、寧ろ兄ちゃんの方が、よっぽど可愛いのに…
何気に女の子みたいに見える時だってあるし…
「そうか? 昨夜は随分可愛い声聞かせて貰ったけど?」
えっ…、えぇぇっ…?
それってもしかして、聞かれてた…ってこと…?
「ああ、俺らの部屋、お前らの部屋の隣なんだわ。だから丸聞こえだった、ってわけよ」
マジ…ですか?
「あ、あの…聞こえてたって、その…全部…です…よね…?」
俺は顔が熱くなるのを感じながら、翔さんを見上げると、翔さんは当然とばかりに笑って…
「おかげで智がノリノリになっちゃって、大変だったけどな?」
って…
えっ…、えぇぇっ…?
まさか、翔さんと智さんもそういう関係ってこと?
ああ、もお…衝撃的過ぎて、俺の頭の中プチパニック状態なんですけど…