第7章 バングル…
田舎の朝は早い。
…とは、まさにこのことで…
日が昇ると同時に大音量で響き渡る、軽快なラジオ体操の音楽に飛び起きてみれば、身体に感じる痛みに、思わず顔を顰めた。
「…ぃ…って…」
腰を擦りながら隣を見ると、気持ち良さそうに寝息を立てる兄ちゃんの寝顔があって、俺はそっとその額にキスを落とすと、兄ちゃんを起こさないようにベッドを抜け出た。
殆ど袖を通しただけ状態で脱ぎ捨てたジャージを着て、階下へと続く階段を降りる。
「おっ、随分と早起きだな?」
階段を降りた先のアトリエでは、翔さんがラジオ体操をしていて…
一瞬、アンタのせいだろ…、と心の中で毒づいてみるけど、まあそれも仕方ない。
なんたってこっちはご厄介になってる身…文句なんて言える筈もない。
「和がはまだ寝てんのか?」
翔さんがリズムに合わせて腕を回しながら、二階に向かって顎をしゃくる。
「え、ええ、まあ…。それより智さんは…」
早朝とは言え、この音量だ。
俺みたいに飛び起きるのが普通なのに、智さんの姿はどこにも見当たらない。
「ああ、智ならまだ寝てるよ」
ラジオ体操の全てのプログラムを終え、翔さんがCDデッキの電源を落とす。
そしてクビにかけていたタオルで汗を拭いながら、キッチンへと入って行った。
和も、だけど智さんも相当寝起き悪いんだな…