第7章 バングル…
「あ、そう言えば…作る、って何を?」
さっきは智さんが寝てしまったから、つい聞きそびれてしまったけど…
「ん? ああ、それな…」
兄ちゃんが俺の下で身じろぐから、俺は身体を起こして、兄ちゃんを中から出すと、兄ちゃんの横に身体を投げ出した。
今まで繋がっていた部分が、何だか寂しい…
「俺さ、普段アクセサリーとかって着けねぇからさ、一口に“ペア”とは言っても、どんなモンがいいか分かんなくてさ…。そしたら、翔の奴がさ、バングルっつーの? それがいいんじゃないかって…」
ああ、もしかしてそれで俺の手首を…?
「でもさ、俺お前みたいにセンスあるわけじゃねぇからさ、悩むわけよ?」
「そんな…。俺、兄ちゃんになら何貰っても嬉しいよ?」
だって俺のために兄ちゃんが選んでくれるなら、俺は別に何だって…
兄ちゃんが困ったように笑って、俺の手首首の下に腕を差し込んだ。
「知ってるよ? お前はさ、俺みたいにひねくれてないからさ…。純粋、っつかそんなだからさ…」
「そんなこと…」
俺、全然純粋なんかじゃないよ。
だって俺…こう見えてけっこう欲深いから…
「でさ、智に相談したら、一緒に作ればいいんじゃねぇか、ってさ…。俺のをお前が作って、お前のを俺が、ってな?」
そこまで言われて、兄ちゃんが何のために俺をここに呼んだのか…漸く分かった気がした。
「まさか泊まることになるとは思って無かったけどな?」
確かにね…。
この展開は、予想外だったかも。
ってか、ここに来てからの出来事全部が予想外過ぎて、俺今夜は寝れそうもないや…