第7章 バングル…
和の手が離れ、肩で息をする俺の背中に、お湯がかけられると、全身に纏っていた泡と一緒に、床に散らばった白い染みも流れて行く。
「お前先湯に浸かってろ。俺もチャチャっと洗っちゃうからさ」
「うん…」
とは言ったものの…
俺だけイカされた、ってのがどうにも癪に障る。
「やっぱいい。それより、洗って貰ったお礼に、俺も兄ちゃんの背中流して上げるよ」
やられっ放しってのは、俺の性分に合わない。
「い、いや、俺は別にいいよ…」
「いいからいいから。ほら、ちゃんと座って?」
椅子から上げようとした腰を押さえ込み、無理矢理椅子へと引き戻すと、俺はボディーソープを手に取った。
そしてしっかりと立てた泡を、和の背中に乗せて行く。
「綺麗にして上げるね?」
勿論、“アソコ”もね?
俺は和の、少し猫背気味の背中を、丁寧に撫でた。
和が俺にしてくれたみたいにね?
「どう? 気持ちいい?」
「まぁ…な…」
フフ…、和緊張してんだよね?
つか、期待してる?
だったら応えてあげなきゃね?
俺は和の脇の下に手を差し込むと、そのまま腕を前に回して、胸の先の小さな尖りを、それはわざとらしく手のひらで掠めた。
「ん…、はっ…」
和の白い喉元が仰け反って、一回り小さな背中が俺に倒れかかってくる。
俺は当然のようにそれを受け止め、その隙に和の股間へと手を伸ばした。
「あっ…、ちょっ…クッ…!」
えっ…、嘘…
触っただけ…だよ?
それなのに、もう…?
手に感じた温度に驚いて顔を上げると、正面に取り付けられた鏡に、何とも言えない表情をした和が写っていた。