第21章 試験と試練
「また規則を破って抜け出すつもりなんだね?」
「ネビル、聞いて。僕達、今夜どうしても行かなきゃ...」
「駄目だよ。そんな事をしたらまた寮の得点が減っちゃう!ぼ、僕闘うぞ!たとえ君達でも!」
ネビルはハリーの声には耳を傾けずに、震える声でそう言うと弱々しく拳を振り上げた。するとハーマイオニーが杖を取り出し、その先をネビルに向けた。
「ネビル。本当にごめんなさい。でも私達、時間がないの。"ペトリフィカス・トタルス 石になれ"!」
途端、ネビルの両腕,両足が硬直したように張り付き、その場にバタリと倒れた。全身金縛りの術を受けたネビルは動く事も話す事も出来ずに談話室に転がろうとした瞬間、私は毛布をそこにさっと引いた。こうなることを予期していた私は、ネビルが少しでも風邪を引かないようにこうしたのだ。そしてネビルは毛布の上に横たわった。
「ユウミ...!」
ハーマイオニーが驚いたような顔でこちらを見ている。しかしそれには気づかないフリをしてネビルに毛布もかけた。
『ネビル、ごめんなさい。ハリー,ロン,ハーマイオニー行きましょう?』
私の言葉を合図に申し訳なさそうにネビルの横を通り過ぎていった。4人でキツキツになりながら、透明マントに入りフラッフィーのいる部屋までたどり着く。途中でピーブズに見つかったが、ハリーが見事に血みどろ男爵になりきって声を出し事なきをえた。部屋に入る前にハリーが私たちにこう告げる。
「君たち、戻りたかったら戻ってくれ。ここに入ったら危険なことがたくさんあるんだ」
「もちろん一緒に行くわ。ハリーを一人に出来ないもの」
「そうだよ。僕たち友達だろう?」
ハーマイオニーとロンは顔を見合わせて、順番に言った。それを聞いてハリーはお礼を言って微笑む。そしてみんなの視線がこちらに向いた。
『もちろん、私も行くわ。私も、ハリーもロンもハーマイオニーも大切な友達だと思ってるもの』
それを聞いたみんなが微笑んでくれた。4人で顔を見合わせて頷くとみんなで部屋に入り、ハリーがすぐに笛をふくとフラッフィーは眠ってしまった。フラッフィーをどかして仕掛け扉を開くと、先は暗く何も見えない。それを見てハリーは吹くのをやめて言った。
「僕が先に行くよ」
ハリーが笛を吹くのをやめたことで、フラッフィーが起きそうになる。それを見た私が魔法を使う。