第19章 ドラゴン
今日はいよいよ、クィディッチの試合である。ハッフルパフ対グリフィンドールだ。これに勝つとグリフィンドールは首位に立てる重要な試合だ。しかし、審判がセブルスだということでグリフィンドール生はみんな心配そうだった。それは一緒に見ているこの3人も同様である。
『もう、3人とも心配しすぎよ』
「だってあのスネイプ先生よ?」
「どんな贔屓するか〜わかったもんじゃないよ〜」
「心配だわ」
クレアもエイミーもミアもこんな調子である。でも私もセブルスのグリフィンドール嫌いはよくわかっているつもりなので少しは心配だった。
「ユウミ!クレアとエイミーとミアも!」
後ろから名前を呼ばれ振り返るとそこにいたのは、ハーマイオニーとロンだった。
『ハーマイオニー、ロン!』
そこでみんなで少し話をしていると、ロンが突然叫んだ。
「ダンブルドアだ!」
その声にそちらを見ると、確かにダンブルドア先生がいた。これにはみんなが安心したようでほっと息をついた。そしていよいよ選手が入場してきて試合が始まる。後ろが少し騒がしくなった気がしたが、それを気にもとめないくらい試合に集中していた。
すると突然ハリーが急降下した。どうやらスニッチを追いかけているみたいだ。ハリーはセブルスの耳元を掠めたあと急降下をやめて手を挙げた。その手に握られるのは金色の輝く球体。
「やった!ハリーがスニッチ取った!」
誰かのその言葉を皮切りに大きな歓声があがり、隣のクレアと抱き合って喜びを分かち合う。こんなに早くスニッチを捕まえるなんて、ホグワーツ史上はじめてのことだろう。グリフィンドール寮はお祭り騒ぎだった。そこにいる誰もが喜び、笑顔を浮かべている。
この騒ぎの中に主役の一人であるハリーとその友人であるロンとハーマイオニーがいないのをこの中で私だけが知っていた。しかし、誰にも言うことなくこの騒ぎの中に入っていくことにした。