第16章 クィディッチ
ついに試合が始まり競技場は熱気が高まった。フレッドとジョージと仲のよいリー・ ジョーダンが実況を担当しており、グリフィンドール贔屓の実況でグリフィンドール生には人気があるようだった。
「さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました。何て素晴らしいチェイサーでしょう。その上かなり魅力的であります」
「ジョーダン!」
「失礼しました、先生」
リー・ジョーダンはこうして不適切な実況をしてミネルバに指摘を受けるのだった。ミネルバは彼の隣におり、変なことを言わないように監視をしているようだ。
「ちょいとつめてくれや」
初めて見たクィディッチの迫力に見とれていると、ハグリッドの声が聞こえてきた。ハグリッドは小屋から見ていたが、観客席で見ようとこちらに移動してきたみたいだ。
ハリーの様子を見ると上空にいて、目を凝らしてスニッチを探しているようだった。シーカーは狙われやすいため、スニッチが見つかるまでみんなから離れていて、それまで攻撃されないようにするというのが作戦みたいだ。そしてその時、私の目が金色に光るものを捉えた気がした。
『スニッチだわ』
「...あれはスニッチか?」
私の呟いた声とリー・ ジョーダンの実況の声が重なりあった。スニッチがスリザリンのチェイサーの左耳を掠めたのだ。ハリーが一気に急降下しスニッチを追う。しかし、スリザリンのキャプテンであるマーカス・ フリントが反則すれすれのことをしてハリーの邪魔をしたのだ。そのためグリフィンドール席からはブーイングがとんだ。
『ハリー、大丈夫かしら?』
「ユウミ、大丈夫みたいよ」
心配でそう呟くと、それを聞いたクレアが指した方を見るとハリーは元気に飛んでいた。そんなやり取りの中も試合は進んでいったが、途中でハリーの様子がおかしくなっていった。
「ねぇユウミ、ハリーおかしくない?」
『...そうね。大丈夫かしら』
ミアに問いかけられて、返事をしたがついに始まったと思った。ハリーの箒がハリーを振り落とそうとしているみたいに激しく揺れていた。
「そんなこたぁない。強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん。チビどもなんぞ、ニンバス2000にはそんな手出しはできん」
ハグリッドの声がここまで届いてきて、その言葉にみんなが心配そうにハリーを見つめた。