第15章 お見舞い
その日の夜やることもないのでハーマイオニーの持ってきてくれた宿題をコツコツやっていると、医務室に誰かが入ってくる音がした。その人物はこちらに近づいてきて声をかけた。
「入るぞ」
『どうぞ』
その人物とはセブルスだった。セブルスは私の顔などを一通り観察するように見て、それが終わると脇にあった椅子に腰を掛けた。
「体調は大丈夫なのか?」
『えぇ、大丈夫よ。またセブルスに運んでもらったのよね?ごめんなさい、ありがとう』
申し訳なさそうに顔を覗きこみながら言うと、セブルスはため息をついた。
「私は何も言わない。だが、今回のことはお前の両親にも伝えたからな」
『え!お父さまとお母さまに?!』
私が驚いてそちらを見ると、なにを驚いているというような顔をしていた。
「3日も目を覚まさなかったのだ。当然のことだ。ルイスはお前の側にいるってこっちに来ようとしたんだぞ。あんまり心配かけるな」
『お父さまが...。そうね、ただでさえこの体のことで心配かけてるんだもの。気を付けるわ』
落ち込んでいると、セブルスは私の頭の上に手をポンと置いてゆっくり休めと言って出ていった。セブルスが出ていってすぐに眠気が襲ってきた私はそのまま身を委ねた。
そこからの数日はマダム・ポンフリーからのお許しが出なくて、医務室に引きこもることになった。その間にもみんなはお見舞いに来てくれて、マダム・ポンフリーに追い出されない程度に話をしてくれた。そしてあの場にいたミネルバも来てくれて、涙ながらに抱き締められた。そしてもう危険なことはしないようにと言われたのだった。そしてついに医務室から出られる日が来た。
「もうあなたの顔を見なくて済むように祈っています」
マダム・ポンフリーは最後にそう言って、私のことを見送ってくれた。寮へ帰る途中に、ターバンを巻いたあの先生を見かけた。話しかけるつもりはなかったが、クィレル先生のあまりの顔色の悪さに思わず声をかけてしまった。
『クィレル先生?顔色悪いですけど、大丈夫ですか?』
「わ、わたしですか?!み、み、Ms.マーレイ、だ、大丈夫、で、ですよ」
驚いたように肩をびくつかせたクィレル先生は、すぐにぎこちないながらも笑ってくれたのでお大事にと声をかけると寮に戻った。