第14章 ハロウィーン
「まぁ!!」
マクゴナガルはあまりの驚きにたまらず悲鳴をあげた。スネイプは冷静になろうと努め、ユウミをそっと抱えあげるとマクゴナガルにこの場を任せて急ぎ足で医務室に向かった。
医務室に扉を壊す勢いで入るとそこにはマダム・ポンフリーがおりこちらに怒ろうとしたが、スネイプが抱えているユウミを見て表情を変えた。スネイプにベッドに寝かせるように指示をしたマダム・ポンフリーはすぐに治療を始めた。スネイプは杖を出してユウミが発作を起こしたときに飲む薬を呼び寄せるとマダム・ポンフリーに渡して心配そうにユウミを見つめていた。
夢を見た。悲しくて悲しくて仕方ない顔をしている女の子がぽつんといる。いや夢ではない。これは前世の記憶の中の私だ。病気が発覚してしばらくは、両親も私の病気を治そうと尽力したが原因が見つからず、さらには治療の方法もわからず途方にくれたのだった。しかし、そんなときに母親のお腹に小さな命が宿ったのだ。
両親は私のことから逃げるようにその子が健康で産まれるためにたくさんのことをした。そしてその子が無事に健康で産まれてから私への愛はなくなって、私のことなど見向きもしなくなった。私の心が張り裂けそうになったとき、私の手に温もりを感じた。振り向こうとすると、突然意識が浮上するのを感じた。
『ん....』
目を開けるとそこは見慣れた医務室だった。ゆっくりと上半身を起こして、自分の手を見つめる。あの温もりは誰のものだったのだろうか。しばらく見つめているとカーテンが開く音がして、バサッとなにかが落ちた音がした。私がそちらを向こうとすると、目の前は真っ暗になっていた。
「...ユウミ!起きたのね...良かった...」
その声はクレアだった。
『どうしたの、クレア?』
「どうしたのじゃないわ!あなた3日間眠ってたのよ!わたし...あなたがもう目を覚まさないんじゃないかって...」
クレアに不思議そうに尋ねると、すごい勢いで言っていたがだんだん声が小さくなっていって、しまいには俯いてしまった。
『クレア...心配してくれてありがとう。でももう大丈夫よ』
にっこり笑って言うと、また抱きついてきたので抱き締め返した。