第14章 ハロウィーン
『ハーマイオニー、落ち着いて逃げましょう。叫んではだめよ、大丈夫、落ち着いて』
ハーマイオニーに必死に語りかけたが、ハーマイオニーに私の声は届いてないみたいだった。
「キャーーーーー!!」
そしてハーマイオニーが叫んだことによってトロールは私たちに気づいたようだった。私はハッと我に返って逃げようとハーマイオニーの手をひいたが、トロールが棍棒を振り回したため出来なかった。
『ハーマイオニー、避けて!』
私達は、両手で頭を庇うようにしてしゃがみこんだ。トロールの棍棒はトイレの壁に当たり、木の破片が落ちてきた。それがやむと私は立ち上がり奥に逃げたが、トロールは私を追ってきてもう1度近くで棍棒を振り上げたのだった。
そして逃げようとした直後、間の悪いことに心臓が痛み出してきてしまったのだ。なすすべもなく私は心臓の付近を抑えてしゃがみこむと上から木の破片が大量に落ちてきて、私はそれらに埋もれるようにして意識を失った。
初めて見たトロールに足がすくんでいたハーマイオニーはユウミの声に反応してしゃがみこんだ。音がやむのを待ち周りを見ると、ユウミが奥に逃げたが、トロールがもう1度棍棒をユウミの近くで振り上げた。
それを見てユウミの名前を叫ぶが、それを見ていたみたいなので避けられるとホッと息をつこうとした。しかし、直後にユウミは胸を抑えるようにしてしゃがみこみ、棍棒によって壊れたトイレの壁の破片に埋もれて見えなくなってしまった。
「ユウミ!!!」
ユウミが見えなくなり動揺していると、扉からハリーとロンが入ってきたのだ。
「こっちに引きつけろ!」
「やーい、ウスノロ!」
ハリーは木の破片を拾って壁に投げつけ、ロンはトロールを大きな声で挑発した。すると、トロールは方向転換して標的をハリーとロンに変えた。ハリーはトロールの後ろに回りこみ
「早く、走れ、走るんだ!」
ハーマイオニーに向かって叫んだが、ハーマイオニーは腰が抜けて立ち上がることさえ出来なかった。唸り声を上げたトロールがロンに近づくと、ハリーはなんと後ろからトロールに飛びついた。ハリーがトロールの首に自分の腕を巻き付けるとトロールは嫌がって首をぶんぶん振った。