第14章 ハロウィーン
私はあのあとハーマイオニーを探しに出たが、トイレにいたということを覚えていただけだったためまだ見つけられてなかった。
『ハーマイオニー、どこにいるのかしら』
何個目かのトイレに入ると、1つのドアが閉まっており泣き声が聞こえてきていた。
『ハーマイオニー?いる?』
静かに話しかけると、ハーマイオニーは返事をしてくれた。
「ユウミ?今は1人にしてちょうだい」
今は話しかけても逆効果だなと思った私は、待つことにした。しばらく時間が経って
「...ユウミ?」
『なに、ハーマイオニー?』
ハーマイオニーからおそるおそる呼び掛けがあったので、出来るだけ優しく返事をすると驚いていた。
「どうしてまだいるの?!」
『友達が泣いているのに、1人に出来るわけないわ。それともハーマイオニーは私のこと友達とは思ってないかしら?』
「そんなことないわ!でも、私はあの2人が言ってたこと、自分でもそうだって思ったわ!授業でもいつもでしゃばって、おせっかいのしったかぶりだもの!ちゃんと、ちゃんとわかってるわ!」
ハーマイオニーはしゃくりあげながら答えてくれた。
『私はそうは思わないわ。ハーマイオニーはとても友達思いよ。友達を注意するってとても勇気のいることだと思うの。私は出来なかったわ、ドラコにもあの2人にも。だからハーマイオニーのことすごいと思うの。あとはもう少し言い方を柔らかくしたら完璧よ』
ハーマイオニーに語りかけながら最後は冗談を言うように言うと、中からクスッと笑い声が聞こえて扉が開いて目が真っ赤なハーマイオニーが出てきてにっこりしてくれた。
「ありがとう、ユウミ。それとさっきは無視しちゃってごめんなさい」
『私も最近教えてもらったのよ、気にしないで』
そして2人で笑いあった。
『ハーマイオニー、このまま寮に戻りましょう?目を冷やさないといけないわ』
「そうね」
トロールが来る前にここから出ようとハーマイオニーの手を引いた。しかし
「なにこの臭い?」
『ひどい臭いね』
私が答えると同時に、唸り声が聞こえてきた。何かを引きずるような足音が近づくに連れて、臭いも強くなってきた。トロールが来てしまったみたいだ。とりあえず、逃げようと思ってハーマイオニーの手を引こうとしたが、ハーマイオニーは固まってしまっていた。