第87章 S・P・E・W
しかしそのとき、突然頭上で音がしてふくろう便が到着したことを告げ、ハーマイオニーのそのあとの言葉は羽音に飲み込まれてしまった。ハーマイオニーは話をやめる。なぜなら、ヘドウィグがハリーの肩に舞い降り、羽をたたみ、疲れた様子で脚を突き出したからだ。
それを、ハーマイオニーもロンも心配そうに見つめた。ハリーは、シリウスの返事を引っ張るように外し、ヘドウィグにベーコンの外皮を与える。ヘドウィグは嬉しそうにそれをついばみむ。
「ユウミ」
こっちきてと手招きするハリーに頷き、私はハリー達に近寄る。フレッドとジョージが、三校対抗試合の話に没頭していて安全なことを確かめ、ハリーはシリウスの手紙をヒソヒソ声で読んで私達に聞かせた。
'無理するな、ハリー 私はもう帰国して、しっかり隠れている。ホグワーツで起こっていることはすべて知らせてほしい。ヘドウィグは使わないように。次々違うふくろうを使いなさい。私のことは心配せずに、自分のことだけを注意していなさい。君の傷痕について私が言ったことを忘れないように。 シリウス'
「どうして、ふくろうを次々取り替えなきゃいけないのかなあ?」
「ヘドウィグじゃ注意を引きすぎるからよ。目立つもの。白フクロウがシリウスの隠れ家に...どこだかは知らないけど、何度も何度も行ったりしてごらんなさい...だって、もともと白フクロウはこの国の鳥じゃないでしょ?」
ロンが低い声で尋ねると、すぐにハーマイオニーが答えた。
「ヘドウィグ、ありがとう」
シリウスが捕まらずに戻ってこれたことで安心した様子のハリー。ハリーは、ヘドウィグを撫でる。ヘドウィグはホーと眠そうな声で鳴き、ハリーのオレンジジュースのコップにちょっと嘴を突っ込み、すぐまた飛び立った。ふくろう小屋でぐっすり眠りたくて仕方がないようだ。
「ユウミ、私達食べ終わったけど...」
私のところに来たクレアとミアとエイミー。
『ちょっと待って...私もすぐ食べ終わるわ』
ささっと残っていたものを食べ終えて、立ち上がる。
『食べ終わったわ!』
「もう、急がなくていいのに。待ってるから」
クレアが少し呆れたように言う。
『だって、悪いもの。じゃあ、お先に』
私はフレッドとジョージが話に夢中になっているのを見て、ハリー達3人に声をかけてそこを後にした。