第87章 S・P・E・W
10月30日の朝、朝食に降りて行くと、大広間はすでに前の晩に飾りつけが済んでいた。壁には各寮を示す巨大な絹の垂れ幕が懸けられている。
グリフィンドールは赤地に金のライオン、レイブンクローは青にブロンズの鷲、ハッフルパフは黄色に黒いアナグマ、スリザリンは緑にシルバーの蛇だ。教職員テーブルの背後には、一番大きな垂れ幕があり、ホグワーツ校の紋章が描かれていた。大きな'H'の文字の周囲に、ライオン、鷲、アナグマ、蛇が団結している。
「「ユウミ!」」
『えっと、先に行っててくれる?』
「わかったわ、あっちの方に座ってるわね」
フレッドとジョージに呼ばれた私は、クレア達に返事をして向かう。周りには、ハリー、ロン、ハーマイオニーもいる。フレッドとジョージが自分達の間を開けてくれたので、ハリー達と挨拶をしてそこに座る。
『どうしたの?』
二人は、間に座る私にハグしてこう言った。
「「癒される...」」
私は、フレッドとジョージの二人がバグマンとの賭けのことで苦労しているのを知っていたため、好きにしてあげる。
「三校対抗試合ってどんなものか、何かわかったの?エントリーするのに、何かもっと方法を考えた?」
二人の気が済んだのか私から離れると、ハリーがフレッドとジョージにそう尋ねた。驚いた私は、二人を見る。
『あら?エントリーするの?二人は16歳よね?』
「「そうだ!でも俺たち、4月には17歳だぜ?あんまりだと思わないか?」」
『そうねぇ...』
私は、曖昧に微笑む。
「代表選手になると、普通なら絶対許されないことがいろいろ出来るんだぜ。しかも、賞金一千ガリオンだ!」
「でも、マクゴナガルに、代表選手をどうやって選ぶのか聞いたけど、教えてくれないんだ。黙って、アライグマを変身させる練習をしなさいって、言われた」
ジョージが苦々しくそう言った。
「いったい、どんな課題が出るのかなあ?だってさ、ハリー、僕たちきっと課題をこなせるよ。これまでも危険なことをやってきたもの...」
考え込むロン。
「審査員の前では、やってないぞ。マクゴナガルが言うには、代表選手が課題をいかにうまくこなすかによって、点数が付けられるそうだ」
「誰が審査員になるの?」
フレッドがそう言うと、ハリーが尋ねた。