第87章 S・P・E・W
私の言葉を遮って問いかけたロン。私が答える前に、ハーマイオニーが答えた。
「あら、知らないの?ユウミはあの人と仲良しなのよ」
ハーマイオニーの言い方が引っ掛かり、私はハーマイオニーの方を向く。
『...えっと、ハーマイオニー?』
「え?だって、去年から二人で図書館でよく会っていたでしょう?女の子が噂していたわ。あの人、人気者だもの」
『...知らなかったわ...』
私が呟くと、ハーマイオニーは戸惑った様子を見せる。
「それで、ユウミはハーマイオニーになんの用事なんだ?」
私はロンの問いに用事を思い出して、ハーマイオニーに言う。
『古代ルーン文字のことで聞きたいことがあって...』
ハーマイオニーに聞きたいことを聞き終えた私は、3人に別れを告げた。
それから一週間は、どこへ行っても、たった一つの話題、'三校対抗試合'の話で持ち切りになった。生徒から生徒へと、まるで感染力の強い細菌のように噂が飛び交った。誰がホグワーツの代表選手に立候補するか、試合はどんな内容か、ボーバトンとダームストラングの生徒は自分たちとどう違うのかなどということだ。
「あぁ...可哀想に...」
クレアの目線の先には、靴の汚れを落とし忘れてしまったために凶暴極まりない態度でフィルチに脅されて、ヒステリー状態の一年生の女子が2人いた。フィルチだけじゃなく、他の先生方も妙に緊張している。
「ロングボトム、お願いですから、ダームストラングの生徒たちの前で、あなたが簡単な取替え呪文さえ使えないなどと、暴露しないように!」
一段と難しい授業で、ネビルがうっかり自分の耳をサボテンに移植してしまったので、授業の終わりには、ミネルバが怒鳴った。
「あ、ユウミいいところに!」
『どうしたの?』
クレアとミアとエイミーと談話室でくつろいでいた私のもとに、ハーマイオニーがよってきた。手には、箱と空き缶を持っている。
「それ、なに〜?」
エイミーの問いに、いいことを聞いてくれたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべたハーマイオニーは、蓋を開けて箱の中身を見せてくれた。箱の中には、色とりどりのバッジが20個ほど入っている。みんな同じ文字が描かれていた。'S・P・E・W'
「スピュー?何に使うの?」
バッジを見たミアが不思議そうに問う。