第86章 許されざる呪文
占い学で出た宿題をやるためだ。適当な席に座り、宿題をやって30分。
「ユウミ〜全然わからない〜」
テーブルの上には、計算の結果や記号を書きつけた羊皮紙の切れ端で散らかっている。しかし、全くと言っていいほど私とエイミーの作業は進んでいなかった。
『そうね...わからないわね』
「真剣にやるだけ無駄な気がする〜」
エイミーの言葉に私は、同意する。
『もう、そうね。こうなったら、最終手段でいいんじゃないかしら?そう思わない?』
エイミーは私の言いたいことがわかったのか笑って言う。
「そう思う〜」
私とエイミーは最終手段、すなわちでっちあげたことを書き始めた。とにかくよくないことを多めに書き始める。1時間後。
『終わったわ!』
「もう少し待って〜......終わった〜」
私とエイミーは、そこを片付けてグリフィンドール寮へと戻った。ハリーとロンとハーマイオニーがいることに気づいた私は、声をかける。エイミーは先に部屋に戻った。
『ハリー、ロン、ハーマイオニー!』
「ユウミ、いいところに!」
私は首を傾げて、空いている席に座らせてもらう。
『どうしたの、ハーマイオニー?』
「今、ハーマイオニーがおかしなことを僕たちに話してくれたところ」
ロンが私にそう言った。ハーマイオニーが、ロンを睨み付ける。そのとき、トントンと軽く窓を叩く音がした。ガランとした談話室の向こうに、月明かりに照らされて窓枠に止まっている、雪のように白いふくろうが見えた。
「ヘドウィグ!」
ハリーは叫ぶように名前を呼び、椅子から飛び出して駆け寄り、窓を開けた。ヘドウィグは中に入ると、部屋を横切って飛び、テーブルに置かれたハリーの予言の上に舞い降りる。
「待ってたよ!」
「返事を持って来た」
ハリーが急いでこちらに戻ってきてロンも興奮して、ヘドウィグの脚に結び付けられた汚れた羊皮紙を指差した。ハリーは急いで手紙を解き、座って読みはじめる。ヘドウィグは翼をはためかせてハリーの膝に乗り、やさしくホーと鳴いた。
「なんて書いてあるの?」
ハーマイオニーが息を弾ませて尋ねた。私は、ここでシリウスの手紙かと予測する。ハリーから、夏休みの間に傷痕が痛んだこととそれをシリウスに手紙で知らせたことは教えてもらっていたのだ。ハリーが読み上げる。