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愛される少女【HP】

第86章 許されざる呪文


「アバダケダブラの呪いの裏には、強力な魔力が必要だ...おまえたちがこぞって杖を取り出し、わしに向けてこの呪文を唱えたところで、わしに鼻血さえ出させることもできはしない。あぁ、例外はいるがそれは今はいいだろう。そんなことはどうでもいいのだ。わしは、おまえたちにそのやり方を教えに来ているわけではない」

みんなが真剣にムーディ先生の話を聞いているのを感じる。私は、例外というのが気になった。誰のことなのだろう。前世の記憶ではそんなことを言っていなかった気がするが、忘れているだけだろうか。

「さて、反対呪文がないなら、なぜおまえたちに見せたりするのか?それは、おまえたちが知っておかなければならないからだ。最悪の事態がどういうものか、おまえたちは認識しておかなければならないのだ。しかし、そんなものと向き合うような目に遭わないようにすることだ。油断大敵!」

ムーディ先生の声が轟き、またみんな飛び上がる。

「さて...この3つの呪文だが...'アバダケダブラ'、'服従の呪文'、'磔の呪文'...これらは、'許されざる呪文'と呼ばれる。同類である人間に対して、このうちどれか一つの呪いをかけるだけで、アズカバン監獄で終身刑を受けるに値する。おまえたちが立ち向かうのは、そういうものなのだ。そういうものに対しての闘い方を、わしはおまえたちに教えなければならない。備えが必要だ。武装が必要だ。しかし、何よりもまず、常に、絶えず、警戒することの訓練が必要だ。羽根ペンを出せ...これを書き取れ...」

それからの授業は、許されざる呪文のそれぞれについて、ノートを取ることに終始した。授業終了の鐘が鳴るまで、誰も何も喋らなかった。しかし、ムーディ先生が授業の終わりを告げ、みんなが教室を出るとすぐに、お喋りで湧き返る。

ほとんどの生徒が、恐ろしそうに呪文の話をしているようだ。みんなは、まるで素晴らしいショーか何かのように授業の話をしていたが私はそうは思えなかった。

「...恐ろしいわ...」

どうやらそう思ったのは私だけではないみたいで、クレアがポツリ呟く。

「魔法って怖いね〜あんな一瞬で...」

エイミーも、そういう。私は、ハリー達とネビルが話しているのを横目にクレア達と授業のことを話しながら、そこを後にした。夕食を食べ終えた私とエイミーは、図書館へと向かう。

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