第84章 三大魔法学校対校試合
「私が申し上げましたのはね、あなたが、間違いなく、土星の不吉な支配の下で生まれた、ということですのよ」
先生はそう言ったが、ハリーがトレローニー先生の言葉に聞き惚れていなかったことが明白だったので、先生の声は微かにイライラしている。
「何の下にですか?」
「土星ですわ、不吉な惑星、土星です!」
先生はそう宣告したが、それでもハリーに止めを刺すことができなかったので、トレローニー先生の声が明らかにイライラしだしていた。
「あなたの生まれたとき、間違いなく土星が天空の支配宮に入っていたと、私、そう申し上げていましたの...あなたの黒い髪の毛...貧弱な身体つき...幼くして悲劇的な喪失...私、間違っていないと思いますが、ねえ、あなた、真冬に生まれたでしょう?」
「いいえ。僕、7月生まれです」
私は吹き出すのを必死に耐える。30分後、みんなはそれぞれ複雑な円形チャートを渡され、自分の生まれたときの惑星の位置を書き込む作業をすることになった。年表を参照したり、角度の計算をするばかりの、面白くない作業だ。
「僕、海王星が二つもあるよ。そんなはずないよね?」
しばらくして、ハリーが自分の羊皮紙を見て顔をしかめながら言ったのが聞こえてきた。
「ああぁぁぁー。海王星が二つ空に現れるとき。ハリー、それはメガネをかけた小人が生まれる確かな印ですわ...」
ロンがトレローニー先生の謎めいた囁きを口真似した。私はそれを聞いてくすくすと笑う。ハリーとロンのすぐ側で作業していたシューマスとディーンが、声をあげて笑ったが、ラベンダーの興奮した叫び声に掻き消された。
「うわあ、先生、見てください!星位のない惑星が出てきました!おおぉぉー、先生、いったいこの星は?」
「天王星、最後尾の惑星ですわ」
トレローニー先生が星座表を覗き込んで言う。
「ラベンダー、僕に君のお尻(最後尾の星)、ちょっと見せてくれる?」
ロンの下品な言葉遊びが、運悪くトレローニー先生の耳に入ってしまった。たぶんそのせいだろう。授業が終わるときに、たくさんの宿題が出された。
「これから一ヵ月間の惑星の動きが、みなさんにどういう影響を与えるか、ご自分の星座表に照らして、詳しく分析なさい。来週の月曜日に提出なさい。言い訳は聞きません!」