第83章 ホグワーツ特急に乗って
「マルフォイを氷河から突き落として事故に見せかけたり、簡単に出来ただろうになあ。あいつの母親が、あいつを可愛がっているのは、残念だ」
私は聞こえなかったふりをすることにした。
『私、自分のコンパートメントに戻るわ。またね』
ハリー、ロン、ハーマイオニーからの返事を聞いて私はコンパートメントに戻る。
『クレア、ミア、エイミー、久しぶりね!』
「久しぶりって言っても〜ワールドカップで会ったよ〜?」
エイミーの言葉に、確かにそうだと頷いてから私は空いている席に腰かけた。
「ハリー達のところにいたの?」
『あら、クレア。よくわかったわね?』
「わかるわよ。毎年、そうじゃない?」
ミアが呆れたように言う。
『それもそうね』
列車が進むにつれて、雨はますます激しくなってきた。空は暗く、窓という窓は曇ってしまい、昼日中に車内灯が灯った。昼食のワゴンが通路をガタゴトとやって来て、私は大鍋ケーキを一人分買う。午後になり、自由に私達は過ごしていたが、ミアが突然こう言った。
「今年のホグワーツで何があるか知ってる?」
「私は知らないよ〜」
両親がマグルのエイミーが1番に答える。
「私も知らないわ。そもそも何かがあるの?」
次に答えたのは、クレアだ。みんなの視線が私に集まった。
『何か面白いことがあるみたいよ?お父さまもお母さまも教えてくれなかったから、何があるのかは知らないけど...』
「やっぱりユウミのご両親は知っていたのね?私の家も教えてくれなかったのよ。ユウミなら、教えてもらってると思ってたわ」
ミアは残念そうにしている。
『でも、早めにわかると思うわ。お父さまがそう言っていたから』
私がそう言うと、ミアは微笑んだ。
「そろそろ着く時間ね。ローブに着替えないと」
クレアの言葉に、私達はローブに着替え始める。しばらくして、ホグワーツ特急は速度を落としてホグズミードの真っ暗な駅に停車した。列車の扉が開いたとき、頭上で雷鳴が響いた。
『ミーア、平気?』
「ホー!」
心配になって問いかけたが、ミーアは頼もしく鳴く。私は安心してミーアに微笑みかける。
『良かった。じゃあ、またね』
外は土砂降りで、みんな背を丸め、目を細めて列車から降りた。クレアが心配そうに私を見る。