第83章 ホグワーツ特急に乗って
「僕もそれ、聞いたことがあるような気がする。どこにあるんだい?どこの国に?」
ロンが漠然と言う。
「さあ、誰も知らないんじゃない?」
ハーマイオニーは眉をちょっと吊り上げる。
「えー...どうして?」
「魔法学校には、昔から強烈な対抗意識があるの。ダームストラングとボーバトンは、誰にも秘密を盗まれないように、どこにあるのか隠したいわけ」
ハーマイオニーは、感情を隠すかのような調子で言った。
「そんなバカな。ダームストラングだって、ホグワーツと同じくらいの規模だろ。バカでっかい城をどうやって隠すんだい?」
笑い出したロン。それにハーマイオニーが驚いたように返す。
「だって、ホグワーツも隠されてるじゃない。そんなこと、みんな知ってるわよ...そうよ、ホグワーツの歴史を読んだ人ならみんな、だけど」
「じゃ、君だけだ」
「あら、ロン、そんなことないわよ。ユウミは知っていたでしょう?」
ハーマイオニーが私に問いかける。私は、肩をすくめて答えた。
『...そうね、知ってるわ』
「それじゃ、どっちでもいいけど教えてよ。どうやってホグワーツみたいなとこ、隠すんだい?」
私とハーマイオニーは顔を見合わせて、アイコンタクトでハーマイオニーから話してもらうことにする。
「魔法がかかってるの。マグルが見ると、朽ちかけた廃嘘に見えるだけ。入口の看板に、'危険、入るべからず'って書いてあるわ」
「それじゃ、ダームストラングも、よそ者には廃嘘みたいに見えるのかい?」
「たぶんね。さもなきゃ、ワールドカップの競技場みたいに、マグル避け呪文がかけてあるかもね。その上、外国の魔法使いに見つからないように、位置発見不可能にしてるわ...」
ハーマイオニーは肩をすくめた。
「もう一回、言ってくれない?」
「あのね、建物に魔法をかけて、地図上でその位置を発見できないようにできるでしょ?」
「うーん...君がそう言うんならそうだろう」
ハリーが言う。
「でも、私、ダームストラングってどこかずーっと遠い北のほうにあるに違いないって思う。どこか、とっても寒いところ。だって、制服に毛皮のケープが付いているもの」
思いに耽って言ったハーマイオニー。それに続いて、ロンも夢見るように言った。
「あー、ずいぶんいろんな可能性があったろうなあ」