第82章 闇の印
『ここよ』
私は、一番下の記事を指差した。
『名前は出ていないわ。でも、アーサーさんのことよ。こう書いてあるわ。'森のはずれで、脅えながら、情報をいまや遅しと待ち構えていた魔法使いたちは、魔法省からの安全確認の知らせを期待していたのだが、みんな、見事に失望させられた。闇の印の出現からしばらくして、魔法省の役人が姿を現し、誰も怪我人は無かったと主張し、それ以上の情報を提供することを拒んだ。それから一時間後に、数人の遺体が森から運び出されたという噂を、この発表だけで打ち消すことができるかは、大いに疑問である'』
「アーサーは大変でしょうね」
お母さまが気の毒そうにポツリと言う。
「さぁ、ユウミ。部屋で休みなさい。あんまり眠れていないんだろう?」
お父さまに頷いて、私は部屋へと戻った。確かハリーは今日、ロンとハーマイオニーに傷が傷んで目を覚ましたことを話すのだ。さらに、ヴォルデモートとワームテールが誰かを殺す計画をしていたと。ハリーはハーマイオニーの怯えた顔をみて、自分がとは言わずに濁すのだ。
それから、トレローニー先生の予言。'闇の帝王は、友もなく孤独に、朋輩に打ち棄てられて横たわっている。その召使いは、12年間鎖に繋がれていた。今夜、真夜中になる前、その召使いは自由の身となり、ご主人様のもとに馳せ参ずるであろう。闇の帝王は、召使いの手を借り、再び立ち上がるであろう。以前よりさらに偉大に、より恐ろしく。今夜だ。真夜中前、召使いが、そのご主人様のもとに、馳せ参ずるであろう'
「ホー」
『ミーア』
ミーアが私の肩にのり、自分の顔を頬にすりすりとした。それを見て私はミーアを優しく撫でる。ハリーは傷のことをシリウスに知らせたはずだ。それでみんなの気持ちも少しは明るくなったはず。
『ミーア。私、少し眠るわ』
「ホー」
ミーアは返事をするかのように鳴いて、私がもう一度撫でると私の肩から飛んだ。それから、1週間。私は家でゆっくりと過ごした。しかし、アーサーさんとパーシーは大変だったみたいだ。
「ユウミ、荷造りは済んだの?」
『えぇ、済んだわ』
明日は、いよいよホグワーツに出発する日だ。
「じゃあ、早く寝なさい。寝坊しないようにね」
『わかってるわ。おやすみ、お母さま』