第82章 闇の印
「家を出るときに、おまえたちにガミガミ言って!例のあの人が、おまえたちをどうにかしてしまっていたら...母さんがおまえたちに言った最後の言葉がO.W.L試験の点が低かった、だったなんて、いったいどうしたらいいんだろうって、ずっとそればっかり考えてたわ!ああ、フレッド...ジョージ...」
モリーさんは啜り泣きはじめた。
「さあさあ、モリー、みんな無事なんだから」
アーサーさんは優しく宥めながら、双子の兄弟に喰い込んだモリーさんの指を引き離し、モリーさんを家の中へと連れ戻す。私も、お父さまとお母さまに寄り添われながら家へと入っていく。
「アーサー。娘をありがとう。助かったよ」
「私からもお礼を言わせて、ありがとう。ユウミを休ませたいから今日はこれで帰るわ」
「気にしないでくれ。あぁ、そうした方がいい。少ししか休めてないんだ」
アーサーさんとお父さまお母さまが話しているのを聞いて、私はみんなにまた会おうと別れを告げる。そして、お父さまとお母さまと私は、フルーパウダーを使って家に帰ってきた。そこにはディニーがいて、ディニーは私を見て安心したように言う。
「お嬢様!ご無事で何よりでございます!」
『ありがとう、ディニー』
微笑むと、ディニーは仕事に戻る。リビングに行き、私とお父さまとお母さまはソファに座った。
「ユウミ、本当に怪我はないんだね?体調も?」
心配そうにお父さまが問いかける。
『えぇ、大丈夫よ。怪我も体調も問題ないわ。...あら?これは?』
私が見たのは、日刊予言者新聞だ。新聞には、'クィディッチ・ワールドカップでの恐怖'という見出しと、モノクロ写真による森の上空の'闇の印'がチカチカ輝いていた。
「あぁ、それを見て私達はとても驚いたよ。まさか、そんなことになるなんて...」
「本当に生きた心地がしなかったわ。ユウミが無事で、良かった...」
『読んでもいい?』
二人とも頷いたため、私は新聞を読んだ。魔法省の失態、犯人を取り逃がす、警備の甘さ、闇の魔法使い、やりたい放題、国家的恥辱...と言ったことが書いてあった。書いたのは、リータ・スキーター。これからのことでとても関わりのある人物だ。
『アーサーさんのことが書いてあるわ』
「本当に?気づかなかったわ」
「どこに書いてあるんだい?」