第13章 真夜中の決闘
「フィルチ、撒けたみたいだね」
皆汗だくになって、息を切らしていた。私は久しぶりに走ったことと全力疾走をしたために心臓が悲鳴をあげはじめていた。
「だからそう言ったじゃない。やっぱり騙されたのよ、マルフォイに」
ハーマイオニーが胸を押さえながら言った。
「グリフィンドールの塔に戻らなくちゃ、できるだけ早く」
すると、突然ドアの取っ手がガチャガチャ鳴り、教室からピーブズが飛び出した来た。
「真夜中にフラフラしてるのかい?1年生ちゃん。チッチッチ、悪い子悪い子、捕まるぞ」
「黙っててくれたら捕まらずに済むよ。お願いだ。ピーブズ」
『ピーブズ?!』
ロンの言葉にあの、悪戯大好きでみんなを困らせているピーブズがいると知って思わず前に出ると本当にいた。
『初めまして、ピーブズ!私はユウミ・マーレイよ。今度良かったら楽しい悪戯見せてほしいわ!』
キラキラした笑顔で私が言うと、ピーブズは最初は驚いたようだが、段々満更でもない顔をしてきた。
「しょうがないなぁ、この子に免じて黙っといてやる!早く行けよ」
ピーブズがそういうと同時にフィルチの足音がどんどん近づいてきていた。私たちはピーブズにお礼を言い走っていくと、そこには鍵のかかった部屋が1つあるだけで行き止まりだった。もちろんフラッフィーのいる部屋である。絶体絶命のピンチだとみんなが思ったところで、ハリーの杖をひったくったハーマイオニーが呪文を唱えると扉は開いたので、みんなで部屋に急いで入りドアをしめた。私は後ろを気にしつつも、耳を済ませると
「どっちに行った?早く言え、ピーブズ」
フィルチの声が聞こえてきた。
「'どうぞ'と言いな」
「ゴチャゴチャ言うな。さあ連中はどっちに行った?」
「どうぞと言わないなら、なーんにも言わないよ」
ピーブズはいつもの変な抑揚のある癇にさわる声で言った。
「しかたがない、どうぞ」
「なーんにも!ははは。言っただろう。'どうぞ'と言わなけりゃ'なーんにも'言わないって。はっはのはーだ!」
フィルチをからかってピーブズがどこかに行くと、怒ったフィルチがピーブズを追っていったため2人の声はしなくなった。安心しているハリーやロン,ハーマイオニー,ネビルには申し訳ないが、まだ危機が去ったわけではないことをここでただ1人私だけが知っていた。