第13章 真夜中の決闘
時間も迫ってきたのでネビルに別れを告げた私たちが、談話室とは反対の方向へと向かうとネビルは首を傾げた。
「え?君達戻らないの?」
『私たちは用事があるのよ。だからネビルは先に戻ってて』
ネビルにそう言うと、ハーマイオニーの声がした。
「行かせないわよ。ユウミ、まさか貴女までこんなことするとは思わなかったわ」
「また君か!ベッドに戻れよ!」
ハーマイオニーの失望したような顔にこうなるとわかっていたが、やはりショックだった。そして私がなにか言う前にハーマイオニーの言葉にカンカンになったロンが言い返した。
「本当はあんたのお兄さんに言おうかと思ったのよ。パーシーに。監督生だから、絶対に止めさせるわ。グリフィンドールがどうなるか気にならないの?スリザリンが寮杯を取るなんて私はいやよ」
「あっちへ行けよ」
「いいわ。ちゃんと忠告しましたからね。明日家に帰る汽車の中で私の言ったことを思い出すでしょうよ。貴方たちは本当に...」
ハーマイオニーが中に戻ろうと後ろを向くと、肖像画がなかった。太った婦人は夜の散歩に出かけたのか、ハーマイオニーは寮から締め出されてしまったのだ。
「さあ、どうしてくれるの?」
ハーマイオニーは途端にけたたましい声で問い詰める。
「知ったことか」
しかし、ロンは吐き捨てた。
「一緒に行くわ」
「ダメ。来るなよ」
廊下の入り口にたどり着くまでロンとハーマイオニーの口論は続いた。ネビルはオロオロとしていて、ハリーと私は放っておいた。トロフィー室に向かうまでの間に、フィルチと彼のペットの猫であるミセス・ノリスに出くわさないか心配だったが、運よく見つからずにたどり着くことができた。しかしいくら待ってもドラコ達は現れなかった。私たちを罠に嵌めるためなのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
「遅いな、たぶん怖気づいたんだよ」
ロンが笑うように言ったその時、隣の部屋で物音がして、5人は飛び上がった。
「いい子だ。しっかり嗅ぐんだぞ。隅の方に潜んでいるかもしれないからな」
フィルチの声だった。急いでフィルチの声がする方と逆のドアから出て行き全力で走り、階段も駆け上がった。今どこにいるのか、先頭にいたハリーもわかっていない様子。しかしただ一つ分かったのは'妖精の魔法'の教室の近くだということだ。