第79章 パフォーマンス
「ご紹介いたしましょう。こちらはオブランスク大臣...オバロンスクだったかな...Mr.、ええと...とにかく、ブルガリア魔法省大臣閣下です。どうせ私の言っていることは一言もわかっとらんのですから、まあ、気にせずに。ええと、他には誰か...アーサー・ウィーズリー氏はご存知でしょうな?」
一瞬、緊張が走る。アーサーさんとルシウスさんが睨み合った。最後にこの二人が顔を合わせたのは、フローリッシュ・アンド・プロッツ書店で大喧嘩をしたときだろう。ルシウスさんの冷たい灰色の目が、アーサーさんを一瞥して、それから列の端から端までを眺めた。
「これは驚いた、アーサー。特等席のチケットを手に入れるのに、何をお売りになりましたかな?お宅を売っても、それほどの金にはならんでしょうが?」
低い声で言ったルシウスさん。ルシウスさんの言葉を聞いてもいなかったファッジがこう言った。
「アーサー、ルシウスは先ごろ、'聖ムンゴ魔法疾患傷害病院'に、それは多額の寄付をしてくれてね。今日は私の客としての招待なんだ」
「それは...それは結構な」
アーサーさんは、無理に笑顔を取り繕う。ルシウスさんの目が今度はハーマイオニーに移った。ハーマイオニーは少し赤くなったが、怯まずにルシウスさんを睨み返す。
ルシウスさんの口元がニヤリとめくれ上がった。魔法省大臣の目が光っているところでは、ルシウスさんもさすがに何も言わない。それで行ってしまうかと思ったとき、ルシウスさんと目が合った。
「これは、驚いた。ユウミではないか」
みんなの視線が集まるのを感じながら、私は挨拶をした。
『ルシウスさん、お久しぶりです』
「ルイスとは会っていたが、君と会うのは久しぶりだ」
優しく微笑んだルシウスさんに、周りが驚いているように感じる。
「ルイス?なんと、ルシウス!ルイスの娘なのか?その子は?」
そのとき、ファッジがお父さまの名前に反応して声を上げた。
「初めてでしたかな?ファッジ、ルイスの娘のユウミですぞ」
「そうか、そうか。ユウミ、ルイスには良くしてもらっていてね!よく知っている!」
私は恐縮して何も言えず、お辞儀だけをする。しかし、ルシウスさんが優しくフォローしてくれたため、ファッジも微笑ましそうに私を見ただけで済んだ。