第79章 パフォーマンス
「では、ユウミ、ルイスとレイラによろしく伝えておいてくれ」
ルシウスさんはそう言い、アーサーさんに蔑むような会釈をすると、自分の席まで進んだ。
「ユウミ、また学校で」
『えぇ、ドラコ』
ドラコは私に軽く声をかけてから、ハリー、ロン、ハーマイオニーに軽蔑したような視線を投げ、ルシウスさんとナルシッサさんに挟まれて席に着いた。ナルシッサさんも通るときに、優しく声をかけてくれた。
「むかつくやつだ」
私達がフィールドに顔を戻したとき、ロンが呟く。次の瞬間、バグマンが貴賓席に勢いよく飛び込んで来た。
「みなさん、よろしいかな?大臣...ご準備は?」
丸顔がツヤツヤと光り、まるで興奮したエダム・チーズさながらのようになったバグマンが言う。
「君さえよければ、ルード、いつでもいい」
満足げに言ったファッジ。
「"ソノーラス(響け)"!紳士淑女のみなさん...ようこそ!第422回、クィディッチ・ワールドカップ決勝戦に、ようこそ!」
バグマンはサッと杖を取り出し、自分の喉に当てて一声、呪文を唱え、満席のスタジアムから湧き立つどよめきに向かって呼び掛けた。その声は、大観衆の上に響き渡り、スタンドの隅々まで轟く。
観衆が叫び、拍手する。何千という国旗が打ち振られ、お互いの両国の国歌が騒ぎをさらに盛り上げた。貴賓席正面の巨大黒板に描かれていた最後の広告がサッと消え、次のように描かれた...ブルガリア:0 アイルランド:0。
「さて、前置きはこれくらいにして、早速ご紹介しましょう...ブルガリア・ナショナルチームのマスコット!」
深紅一色のスタンドの右手側から、ワッと歓声が上がる。
「いったい、何を連れて来たのかな?」
そう言ったアーサーさんは席から身を乗り出した。しかし、こう叫ぶと急にメガネを外し、慌ててローブで拭った。
「あーっ!'ヴィーラ'だ!」
百人のヴィーラが、滑るようにグラウンドに現れる。ヴィーラは、女性だ。これまで見たことがないほど美しい女性たち...ただし、人間ではない。
音楽が始まり、ヴィーラが踊り始めると、ハリーとロンは魅了されてしまったようだ。椅子から立ち上がって、片足をボックス席の前の壁に掛けているハリー。そして、ハリーの隣りで、飛び込み台からまさに飛び込むばかりの格好で固まっているロン。