第12章 飛行訓練
飛行訓練での出来事を傍観していた私は、自分への嫌悪でいっぱいになっていた。あれが必要な出来事とはいえ、ネビルが怪我をすることをわかっていて見てみぬふりをしたのだから。でも私は開き直ることしか出来なかった。ここから先、もっと怪我人やさらに死ぬ人も出てくるだろうが、私1人のちっぽけな力では全員を助けることは出来ないからだ。私はそう思うことで自分の心を守ったのだった。
あのあと、フーチ先生が戻ってきて授業の続きをしたが、グリフィンドール側は沈んだままだった。夕食の時間になり、大広間に向かうとちょうど入り口でハリーとロンと一緒になったので一緒にご飯を食べることにした。やはり話はハリーのことになり、そこでシーカーになったことをハリーは言った。
「まさか、シーカーだって?だけど一年生は絶対ダメだと...なら、君は最年少の寮代表選手だよ。ここ何年来かな...」
「百年ぶりだって。ウッドがそう言っていたよ」
『そうなのね、おめでとうハリー』
ロンは驚きと感動でボーっとしていたので、代わりににっこりと私が答えた。ハリーは嬉しそうにお礼を言ってくれた。そのとき突然私の両隣に、フレッドとジョージが現れ、ハリーに話しかけた。
「ウッドから聞いたよ。僕たちも選手だ、ビーターだ」
「今年のクィディッチ・カップはいただきだぜ!」
ジョージとフレッドは嬉しそうに笑ってそれだけ言うと、リーとの約束のがあるんだと言って去って行った。それと入れ違いになるようにドラコとクラッブとゴイルがやって来てハリーに突っかかった。
「ポッター、最後の食事かい?マグルのところに帰る汽車にいつ乗るんだい?」
「地上ではやけに元気だね。小さなお友達もいるしね」
冷ややかに言い放ったハリーの態度とその言葉が気に食わなかったのかドラコはそれまでのニヤニヤ顔を不機嫌そうに歪め、小さく舌打ちをしてから言った。
「僕一人でも出来るさ。何なら決闘してやってもいい。魔法使いの決闘は一対一だからな。今夜なんてどうだい?」
「いいよ。介添人は僕がする。そっちは誰がするんだ?」
ハリーよりも早く答えたロンに、ドラコはクラッブとゴイルを見比べてゴイルだと答えた。
「場所はトロフィー室だ。あそこならずっと鍵が空いている」
こうして決闘の約束がなされた。私はどうしようかと悩んでいた。