第12章 飛行訓練
「ふん、見たか?あの顔。思い出し玉を握れば、尻餅のつき方を思い出すだろうに」
フーチ先生とネビルが見えなくなると、ドラコがせせら笑い、周りのスリザリン生も同意するように嘲笑った。それを不快に思いながらも、ぐっと我慢した。
「やめなさいよ、マルフォイ」
「あら、パーバティったら。あのロングボトムに気があるのかしら?」
すかさず注意したパーバティにスリザリンのパーキンソンが嫌味ったらしく返した。
「見ろよ。あいつのばあさんが送ってきたものだ」
「それを返せよ、マルフォイ」
静かなハリーの言葉に、全員が注目する。
「嫌だね。後でロングボトムに取りに来させよう。木の上なんてぴったりじゃないか」
意地悪く笑うとドラコは箒に乗り、空中からハリーを挑発した。するとすぐさまハリーは箒に跨がったが、ハーマイオニーが注意をする。
「ダメよ!フーチ先生がおっしゃってたこと忘れたの!?それにあなた、箒に乗ったことないんでしょ?!」
しかしハリーはそれを無視をして空中へ飛び上がった。一瞬ふらふらとしたがすぐに立て直し、キッとドラコを睨み付ける。
「それをこっちへ渡せ、マルフォイ。じゃないと箒から突き落とすぞ」
「そんなことが出来るのか?」
ハリーの言葉にドラコは余裕の口調とは裏腹に、顔をわずかに強張らせた。そしてハリーがドラコに突進したのをギリギリで避ける。
「返せ!」
「そんなに欲しいんなら自分で取りに行けよ!!」
ドラコはそう言うと、思いだし玉を遠くに思いっきり投げた。それを見たハリーは箒のスピードを加速させ、取りに行く。ハリーの箒はぐんぐんとスピードが上がり、壁にぶつかる前に見事キャッチをした。
ハリーが下に降りるとグリフィンドールのみんなは歓声とともに取り囲んだ。その輪に混ざっていないのは、私とクレアとミアとエイミーとハーマイオニーのみだった。しかしその歓喜もすぐに終わった。なぜならマクゴナガル先生がこちらに来て、ハリーを呼んだからだ。
「ハリー・ポッター来なさい」
「でも先生、マルフォイが...」
「お黙りなさい、Ms.パチル」
「ハリーは、ネビルの...」
「くどいですよ、Mr.ウィーズリー。ポッターついてきなさい」
ハリーは言い訳を諦めた様子で、マクゴナガル先生にトボトボと着いていく。そこにはドラコの嬉々とした声だけが残った。