第12章 飛行訓練
ドラコとハリーたちのごたごたも終わり、ついにその日の午後になり飛行訓練の時間がやってきた。晴れた校庭に、グリフィンドールとスリザリンの1年生が続々と集まってきていた。
「なにをボヤボヤしてるんですか。みんな箒のそばに立って。さぁ、早く。」
しばらくしてやってきたフーチ先生がそう言ったので、急いで箒の隣に立った。そして、フーチ先生の指示の通りに箒の上に右手を突き出して叫んだ。
『上がれ!』
箒はふわっと浮かび上がると、私の掌におさまった。周りを見ると、同じように一発で箒が飛び上がったのは少ないみたいだった。近くにいたクレアとミアとハーマイオニーの箒は地面をコロッと転がっただけで、ネビルとエイミーの箒は動きもしなかった。
次にフーチ先生は、箒に跨る方法を私たちに教え、生徒達の箒の握り方を直した。私は両親にきっちりと教えてもらっていたからか、フーチ先生から注意はなかった。しかしそのあとに、ドラコがフーチ先生に間違った握り方をしていると注意を受けると、ハリーとロンは大喜びしていた。
「さぁ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒は常に真っ直ぐにして、2メートルぐらい浮上して、それから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ。1、2の…」
ネビルがフーチ先生の合図より先に地面を蹴ってしまい浮かび上がってしまった。戻ってきなさい!と声を荒げる先生をよそに、ネビルは段々と上昇していった。もちろんこの出来事は知っていたが、これを変えてしまうと先生がいなくならずにハリーがクィディッチの選手になることがなくなると思うとどうしようもなかった。
真っ青な顔で地面を見下ろしているネビルを見てやっぱり助ければ良かったと後悔したが、もう今さらどうすることも出来なかった。ついに悲鳴を上げたネビルは箒から真っ逆さまに落ちた。途中で引っ掛かったがすぐに落ちていき、ポキッと嫌な音をたてて、ネビルは草の上にうつ伏せに落ちた。
「あぁ、折れてる。私がこの子を医務室に連れていきますから、その間誰も動いてはいけません。いいですね?箒1本でも飛ばしたら、クィディッチのクの字を言う前に、ホグワーツから出て行ってもらいます」
ネビルの痛そうな顔をみて、自分への嫌悪感でいっぱいになった。