第77章 移動キーと水汲み
「いや、しかし、私のところは2枚だから、まだ楽なほうだったらしいな...」
セドリックのお父さまは、人の良さそうな顔で、ウィーズリー家の3人の息子と、ハリー、ハーマイオニー、ジニーを見回した。私は見えているだろうか。
「全部あなたの子かね、アーサー?」
「まさか、赤毛の子だけだよ。この子はハーマイオニー、ロンの友達だ...こっちがハリー、やっぱり友達だ」
アーサーさんは子供たちを指差してから、他の人を紹介した。
「おっと、そういうことか。ハリー?ハリー・ポッターかい?」
セドリックのお父さまは、目を丸くする。
「あー...うん」
答えたハリー。
「セドが、もちろん、君のことを話してくれたよ。去年、君と対戦したことも詳しく話してくれた...私は息子に言ったね、こう言った...セド、そりゃ、子孫にまで語り伝えることだ。そうだとも...おまえはハリー・ポッターに勝ったんだ!」
セドリックのお父さまはそう言った。ハリーはただ黙っていて、フレッドとジョージの2人が揃ってまた顔をしかめ、セドリックはちょっと困ったような顔をしている。
「父さん、ハリーは箒から落ちたんだよ。そう言ったでしょう...事故だったって」
セドリックが口ごもった。
「ああ、でも、おまえは落ちなかった。そうだろうが?うちのセドは、いつも謙虚なんだ。いつだってジェントルマンだ...しかし、最高の者が勝つんだ。ハリーだってそう言うだろう。そうだろうが、え、ハリー?一人は箒から落ち、一人は落ちなかった。天才じゃなくったって、どっちがうまい乗り手かわかるってもんだ!」
セドリックのお父さまは、セドリックの背中を叩き、快活に大声で言う。
「エイモス、まだ紹介が終わってなかった。ユウミ、おいで」
話題を変えるように、アーサーさんに呼ばれた私は、前に出た。
「ユウミ!」
『えぇ、セドリック』
私の名前を驚いたように呼んだセドリックに、にっこり笑う。
「ユウミ?ユウミ・マーレイか?」
『そうです、はじめまして』
挨拶をすると、セドリックのお父さまは
「ルイスの娘か!ルイスから話を聞いていたよ!あぁ、セドとも仲がいいんだったな?セドからもよく話を聞いていた」
「ちょっと、父さん!」
顔を赤くしているセドリック。