第77章 移動キーと水汲み
パッと目の覚めた私は、起きて、大きくあくびをする。外はまだ暗い状態だ。昨夜、私はジニーの部屋にハーマイオニーと3人で一緒に眠った。2人はまだすやすやと眠っている。とりあえず着替えてから、二人を起こさないといけないなと思った私は、ハーマイオニーの方にいく。
『ハーマイオニー、起きて』
なかなか起きないハーマイオニーに困っていると、足音がしてモリーさんが入ってきた。
「あら、おはよう、ユウミ。起きていたのね」
『おはようございます、モリーさん』
モリーさんがジニーを、ハーマイオニーを私がなんとか起こすことが出来た。モリーさんは先に下に行き、まだ眠そうなジニーとハーマイオニーと一緒にキッチンに入る。中には、先に行ったモリーさんとアーサーさんとフレッドとジョージ、ハリーにロンがいた。
「どうして、こんなに早起きしなきゃいけないの?」
ジニーが目を擦りながらテーブルにつく。
「かなり歩かなくちゃならないんだ」
そう言ったアーサーさん。
「歩く?え?僕たち、ワールドカップのところまで、歩いて行くんですか?」
驚いた様子のハリーに、アーサーさんが微笑んで答える。
「いや、いや、それは何マイルも先だ。少し歩くだけだよ。マグルの注意を惹かないようにしながら、大勢の魔法使いが集まるのは非常に難しい。私たちは普段でさえ、どうやって移動するかについては細心の注意を払わなければならない。ましてや、クィディッチ・ワールドカップのような一大イベントではなおさらのことだ」
「ジョージ!」
モリーさんの鋭い声が飛んだ。驚いて、全員が飛び上がった。
「なに?」
ジョージはしらばっくれたが、誰も騙されない。
「ポケットの中にあるものは何?」
「何にもないよ!」
「嘘おっしゃい!」
モリーさんは、杖をジョージのポケットに向けて唱えた。
「"アクシオ(出て来い)"!」
鮮やかな色の小さなものが数個、ジョージのポケットから飛び出す。ジョージが捕まえようとしたが、その手を掠め、小さなものはモリーさんが伸ばした手に真っ直ぐ飛び込んだ。
「捨てなさいって言ったでしょう!全部捨てなさいって、言ったでしょう!ポケットの中身を全部お出しなさい。さあ、二人とも!」
モリーさんはカンカンになっている。あれは、フレッドとジョージの悪戯グッズだろう。