第76章 準備
日曜日に、ウィーズリー家である隠れ穴に行くことになった。フルーパウダーを使って行く。
「じゃあ、気を付けるのよ。モリーとアーサーによろしくね」
『えぇ、お母さま』
お母さまとハグをする。
「楽しんでくるんだよ、気をつけて」
『もちろんよ、お父さま』
お父さまともハグをして、私は粉を投げて緑色になるのを確認する。
『お父さま、お母さまいってきます!』
そう言い、暖炉の中に入った。
「「いってらっしゃい、ユウミ」」
『隠れ穴!』
目を瞑っていた私は、衝撃に耐えられずに前のめりになる。
『キャ』
ぶつかると思った私は、暖かいものに包まれていた。目を開いた私は、上を見る。
『ハリー!』
「やぁ、ユウミ」
そこにいたのは、ハリーだ。ロンもいる。離れた私は、ウィーズリー家のキッチンの暖炉にちゃんと着いているのを見てホッとした。
「いらっしゃい、ユウミ」
『モリーさん、お世話になります』
声をかけてくれたモリーさんに笑みを浮かべて言う。モリーさんも笑ってくれた。
「庭で食べることにしたのよ。持っていってくれる?」
『はい、もちろんです』
お皿を持ち、ハリーとロンと勝手口から裏庭へと出る。
「助かったよ、ユウミ」
『なにかあったの?』
聞いた私に、二人は肩をすくめてから説明してくれた。モリーさんがフレッドとジョージに対して怒っているのだと。それで機嫌が悪かったことを。説明が終わると、裏庭から飛び出して来たクルックシャンクスに出会った。
瓶洗いブラシのような尻尾をピンと立て、足の生えた泥んこのジャガイモのようなものを追いかけている。庭小人だ。クルックシャンクスと庭小人を見ていたそのとき、何かがぶつかる大きな音が、家の前のほうから聴こえて来た。
『なにかしら?』
「行ってみよう」
前庭に廻ると、騒ぎの正体がわかった。ウィーズリー家の長男のビルと次男のチャーリーが二人とも杖を構え、使い古したテーブルを二つ、芝生の上に高々と飛ばし、お互いにぶっつけて落とし合いをしていたのだ。
フレッドとジョージは応援し、ジニーは笑い、ハーマイオニーは面白がりながらも心配して、生垣の傍で複雑な表情をしている。ビルのテーブルが、もの凄い音でぶつかり、チャーリーのテーブルの脚を一本もぎ取った。