第76章 準備
リーマスが来てから日にちが経ち、もうホグワーツに戻るまで約3週間になっていた。この日、お父さまに話があると言われた私はディニーが呼びに来るまで部屋でくつろいでいた。ベッドに寝転がってごろごろしているのだ。
『もう少しだわ...』
「なにが?」
実体化して、私が寝転がっているベッドの縁に腰かけたトム。
『...リドル家の庭番であるマグルのフランク・ブライスが殺されるの...。名前を言ってはいけないあの人に。それを夢に見てハリーの稲妻の形をした額の古傷が痛むの』
暗い表情の私を見て、トムは私の頭を優しく撫でてくれる。
「お嬢様!ご主人様がお呼びです!」
ハッとして起き上がった私は、トムがいなくなっているのを見て胸を撫で下ろす。
『えぇ、今行くわ』
下に降りた私は、お父さまに言われてソファに腰かけた。
「ユウミ。もうすぐ、クィディッチ・ワールドカップの決勝戦が行われることは知っているかい?」
『もちろんよ、お父さま。アイルランド対ブルガリアよね』
お父さまは笑顔で頷いた。
「それで、チケットが取れたんだ」
『本当に?!』
私は驚いて、叫ぶ。取れていないかと思っていたからだ。
「本当だよ。だけど、私とレイラは行けないんだ。だから、アーサーに頼んでおいたよ。席は隣にしてもらったから問題はない」
『嬉しいわ!ありがとう、お父さま』
立ち上がった私は、お父さまにぎゅとハグをする。ブルガリアの選手の中に、友達がいるため観に行きたいと思っていたのだ。
「それで、アーサーが家に来るといいと言っていたが、どうする?」
『えぇ、お願いするわ』
「わかった。私から伝えておこう」
私はさっそく部屋に戻り、ミア宛に手紙を書いた。ミアの家もチケットを取れたらしい。さらに、ミアのお父さまはすごく頑張ったらしく、全部で5枚も取ったのだ。ミアのお母さまが、お世話になっている友達と行ったらどうといい誘ってくれたのだが。
ミアの家族が3人。クレア、エイミー、私で3人。1枚足りないのだ。そのため、私はお父さまが取ってくれたら大丈夫なことを伝えると約束した。なので、さっそくその手紙を書いているのだ。
「よかったね、ユウミ」
『えぇ。とっても嬉しいわ!』
トムににっこり笑って、ミーアに頼んだのだった。