第76章 準備
ノックをしてから、扉を開いた。
『お父さま、お呼びになりまし...』
言葉が続くことはなかった。お客様の顔が目に入ったからだ。
『リーマス!どうして?!』
穏やかに微笑むリーマスと驚いている私を見て、くすくす笑っているお父さまとお母さま。
「ユウミ、とりあえずこちらにいらっしゃい」
お母さまに声をかけられて、私は座った。
『それで、どうしてリーマスが?』
「私が誘ったんだよ。全然会えていなかったから、誘ったらのってくれてね」
お父さまの言葉に納得して頷いてから、リーマスに問いかける。
『じゃあ、リーマスはあのときもう知っていたからああ言ったのね?』
「そうだね」
穏やかに微笑むリーマス。リーマスの学期末のすぐに会えるというのはこういうことだったかのかと思う。
『教えてくれたら、良かったのに!』
「ルイスとレイラがせっかくだから、ユウミを驚かせようと言ってね」
拗ねたようにした私の頭をお母さまが撫でたため、私は仕方ないなと微笑んだ。
「ユウミ、シリウスのこと聞いたよ」
しばらく話していたが、突然お父さまが真剣な顔で私を見て言った。
『そう...。お父さまとお母さまは信じるの?シリウスが無実だってことを』
「あなたは、無実だと思っているのでしょう?」
『もちろんよ。だって、ロンのネズミが変わるところをこの目でみたんだもの』
お母さまの問いに、私は真剣な顔で頷く。
「大切な娘のユウミが言うなら、それを信じないわけにはいかないよ」
「そうよ。ユウミが言うなら、信じるわ」
優しく微笑んだお父さまとお母さま。私は、この二人の元に産まれてすごく幸せだと改めて感じた。そのあとは、リーマスとお父さまとお母さまとたくさん話しをして、リーマスは夕食を食べて帰っていった。
『とっても、楽しかったわ!』
「それは良かったわね。リーマスとユウミがあんなに仲良しだとは思わなかったわ」
「そうだね。私も驚いたよ」
私はにっこり笑う。
『リーマスは、とってもいい先生だったわ。たくさんお話したの!だから、また会えてとっても嬉しかったわ』
この日は、思わぬお客様に幸せな気持ちで眠りにつくことが出来た。