第74章 再び、ふくろう便
シリウス、バックビーク、ペティグリューが姿を消した夜に、何が起こったのか、私、ハリー、ロン、ハーマイオニー、アルバス以外には、ホグワーツの中で真相を知るものは誰もいなかった。学期末が近付き、私はあれこれとたくさんの憶測を耳にしたが、どれ一つとして真相に迫るものなかった。
ドラコはバックビークのことで怒り狂ってるらしい。ハグリッドが何らかの方法で、ヒッポグリフをこっそり安全なところに運んだに違いないと勝手に確信し、あんな番人に自分や父親が出し抜かれたことがとても悔しいといった様子みたいだ。これは、ハリーに聞いた。一方パーシーは、シリウスの逃亡について雄弁に語っていた。
「もし、僕が魔法省に入省したら、魔法警察庁についての提案がたくさんある!」
こういうことをたった一人の聞き手、ガールフレンドのペネロピーに、話していた。
「ユウミ」
『セドリック!』
今日は、学期が終わる最後の勉強会だ。いや、勉強はしないから勉強会という言い方はおかしいだろうか。試験も終わったので、今日は話そうということになったのだ。
「試験、お疲れさま。どうだった?」
『セドリックもお疲れさま。うーん、まぁまぁかしら。セドリックは?』
少し自信がないところもあり、曖昧に答える。
「僕もだよ。あんまり自信ないかな」
二人で困ったように笑いあう。
『もう、学期も終わるわね』
「うん。そうだね。僕は、今学期楽しかったよ。ユウミとたくさん話せたから」
セドリックの思わぬ言葉に、私は驚く。しかし、すぐに笑みを浮かべた。
『私もよ。セドリックとたくさん話せて嬉しかったわ』
セドリックは嬉しそうに笑った。今学期は、セドリックとの距離がとても近づいたと私は思う。悩んでいたときも、優しくしてくれた。それに本当にたくさんのことを話した。
そこまで考えて、あることを思い出す。来学期は、こうやって話すことも出来なくなるだろう。だって、セドリックには恋人が出来るのだから。
「ユウミ、どうかしたかい?」
心配そうに私を覗きこむセドリック。
『なんでもないわ。大丈夫よ』
私は考えていたことを頭の隅に押しやり、笑みを作った。
「無理には聞かないけど、無理しちゃだめだよ?」
セドリックはまだ心配そうな顔で私にそう言った。
『えぇ、ありがとう』