第73章 辞職
「ユウミ。わしは、追いかけても構わんと思うが?」
ハッとして顔を上げると、アルバスは優しく微笑んでいる。
『失礼します!』
私は、走ってルーピン先生を追いかけた。ようやっとルーピン先生の姿が見えたときには、私は息があがっていた。それでも、叫んだ。
『ルーピン先生!』
驚いたように振り向いたルーピン先生。
「ユウミ!まさか、走ってきたのかい?!」
ルーピン先生は、こちらに近づいてきてくれた。呼吸を整えてから、私はルーピン先生を見つめて言う。
『ルーピン先生。私、ルーピン先生のこと大好きです、尊敬してます。ルーピン先生が辞めてしまうのはとても残念です。でも、きっとまた会えると信じてます!...会いに来てくれないと嫌です!』
ルーピン先生は、私の言葉に目を見開いて驚いたようにしてから、くすりと笑った。
「君がそんなことを言うとは、意外だったよ。でも、ありがとう、ユウミ」
優しく微笑んだルーピン先生に思わず抱きつくと、戸惑ったようにしてから私の背中を宥めるように擦ってくれる。
『ルーピン先生』
「あぁ、もう私は君の先生じゃないからね?」
『...リーマスさん?』
無言で微笑んでいるルーピン先生。
『...リーマス?』
正解とでも言うように、ルーピン先生改め、リーマスは、私の頭を優しく撫でた。
「ユウミ、君とはおそらくすぐに会えるよ」
悪戯っぽく微笑んだルーピン先生に、首を傾げる。
「馬車を待たせてしまっているから、そろそろ行くよ。最後に。嬉しかったけど、走ってはいけないよ?」
真剣な表情のリーマスにコクりと頷くと、最後にまた微笑んで行ってしまった。
『すぐ会えるってどういうことかしら?』
私の疑問の答えは、結構すぐにわかるとはこのときの私にわかるはずもなかった。